伎藝塾の成り立ち
伎藝塾は、代表の北島利津子が金継ぎ修復師の清川廣樹先生、書家で書道研究者の根本知先生と出会い、その薫陶を受けたことを機に発足しました。それぞれが独立した教室を持ちながら、伎藝塾という1つの枠組みの中でゆるやかに繋がることで、日本文化の美しさ、そこに根ざす精神を複合的に体感し理解することができると考えます。
「伎藝塾」という名は、仏教における芸能を司る神・伎芸天に由来します。古くより芸能・技芸に従事する人々からの信仰を集めた伎芸天は、種々の伎芸の習得、そして福徳(他に恵みを与え、自らの徳を積む善行。それにより得られる功徳)を与えるとされています。
芸(技)を磨く、道を極めるとは、単に技術向上を指すのではなく、心を磨くことでもあります。技術を磨く中で、他者(周囲の環境、世界)へと目を向け慮る、その心を養うことこそが伎芸天のもたらす福徳ということではないでしょうか。伎芸天から名前をとったこの「伎藝塾」では、日本伝統文化に内在する精神性を体感し、互いに豊かな心を育んで行くことを目指していきたいと思っています。
塾長のご挨拶
塾長:北島利津子
―古の美と心が花開く
ひと時都会の喧騒から離れ、日本の美しい技と心に出会う場所―
みなさま、伎藝塾のホームページにお越しいただきましてありがとうございます。「伎藝塾」の代表を務めております北島宗利と申します。
「伎藝塾」は、2022年、四季の花々に彩られる美しい日本庭園に囲まれた旧柳澤邸を舞台に、様々な日本の伝統文化の交流の場となる事を目指し発足いたしました。
現在は茶道教室を始め、京都平安堂漆芸舎清川廣樹先生による金継ぎ教室、書家根本知先生による古文書を読む会、茶人のための書道講座を常時開催しております。
その他、桜の茶会、紅葉の茶会、能楽講座、琴と書の会等様々な講座を開催しております。
三年目を迎え、伎芸塾に関わる方々も徐々に増え、講演の内容も多岐に渡るようになって参りました。今後は、琉球舞踊の講演、薪能鑑賞会、製茶体験など幅広い文化活動を予定しております。
伎芸塾では、長く培われ伝えられて来たこの国の技と心を共に学べる企画を今後多数準備しております。皆様のご参加を心よりお待ちしております。
柳澤邸の歴史と特徴
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柳澤家は宝暦4年(1754年)頃より現在の世田谷区大原に在住、以降現在に至る(歴史の詳細は現在調査中)。柳澤邸は昭和26年に建てられた約13坪の小住宅である。
施主である柳澤と設計者伊東安兵衛はいわゆる民芸建築への関心が高く、その特徴は大きな切妻造りの屋根、幾重にも組まれた貫と束の意匠、また堅羽目板と押縁下見板張りの仕上げに、さらには大谷石を使用した玄関等に現れている。
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柳澤邸は戦後復興期に建てられた小住宅と共通の要素を多く持ちながらも、座敷飾りである床、棚、書院を持つ応接間を洋風にしたり、外観に伝統的な民家の意匠を用いたりと、戦前に興った民芸運動が戦後にも影響を及ぼしていたことを示す興味深い例として位置づけられる。
広大な敷地内には桜・柿・梅・銀杏・山茶花・椿・松・楠・栗・紅葉・柚・金柑・榊・竹・ツツジなど四季折々の木が植えられている。
*民芸とは一般民衆の生活の中から生まれた、素朴で郷土色の強い実用的な工芸。大正末期、日常生活器具類に美的な価値を見出そうと、いわゆる民芸運動を興した柳宗悦による造語。
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旧柳澤邸の設計者
伊東安兵衛(1908年~1972年)
東京都生まれ。
法政大学哲学科卒業後、東銀座三原橋に喫茶店「門」を開く。その後、民芸家具等を扱う「たくみ」に入社。
昭和28年頃より、家具設計のため松本市を度々訪問し、家具、木工の多くのデザインを担当する。他方、建築設計にも多く携わり、合掌造りの郷土料理店「ふるさと」をはじめ、民芸調の建物を残した。
常設講座一覧
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裏千家茶道教室「大原庵」
講師:北島 宗利
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書道教室
講師:根本 知
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古典金継ぎ教室「京の手習い」
講師:清川 廣樹